Production Period / 1928-1932(SN:110,000-145,159)
KING Voll True は1928年から1932年頃に製造されていました。
KINGのサックスの歴史を辿る上で後に登場する Zephyr や Super 20 の基盤となり、KINGサックスの新たなスタートとなった重要なモデルです。
Voll True の前には H.N. White Model が存在し、そこから22箇所の機構が変更・改善されました。すべての変更点を把握することは難しいですが、トーンホールの広さや位置・付属のマウスピースの改良が行われたことが分かります。
またVoll True からはフィニッシュのパターンが増え、シルバーモデルにゴールドの装飾を施すなどデザイン面にも変化が見られました。
KINGは演奏者の意見を取り入れ改良を重ねながら発展してきたメーカーであり、22箇所もの大幅な変更が加えられたのはこの時代のサックスとしては非常に珍しいことです。
サウンドは低音が深く響き、太く力強い音色が特徴です。
現行モデルと比較すると、手にフィットする感覚が強い設計となっています。同年代のSELMERのモデルのように脇を締めて構えないと吹きづらいサックスが多い中で、KINGはより自然な姿勢で演奏できるよう考えられています。
ただしキーワークの位置には改良の余地があり、特にレバーやサイドキーの位置は若干遠く感じられる部分があります。
それでも当時のサックスとしては比較的使いやすいモデルです。
KING Voll True はKINGのサックスが本格的に進化を遂げるきっかけとなったモデルです。大幅な改良が加えられたことにより、KINGのサウンドと設計の礎を築き後の名器へと繋がっていきました。
力強い音色と演奏者の目線に立った設計が特徴の一本です。