Production Period / 1915-1928(SN:35,000-109,999)
KING H.N. White Model は1915年から1928年頃に製造されたモデルです。
元はH.N. Whiteという会社がありその後 KING 社に買収されました。
KING は元々トロンボーンなど金管楽器を中心に製造していましたが1924年頃から本格的にサックスの製造を開始し、本モデルはその初期に誕生したとされています。
H.N. White Modelには現在のサックスにはない機構が多く見られます。
例えばG#キーのトーンホールの位置は通常ライン上に配置されることが多いですが、本モデルでは背面寄りに設計されています。
またG# のトリルキーが搭載されておりソからソ# への移行をスムーズにすることができます。さらにE♭(ミ♭)の運指が現在の楽器とは異なり、中指だけでレとミ♭の操作が可能です。
サウンドは渋みのある鋭い音色が特徴的です。ジャジーなサウンドでヴィンテージならではのサウンドを感じます。
現行モデルと比較すると、フィット感が異なり手に馴染ませるまでに時間がかかります。またテーブルキーの配置は急角度になっており、手が小さい人にはやや扱いにくい設計で慣れが必要です。
ピッチコントロールも難しく、高音域が上がりすぎたり中音域との音程差が大きくなったりする傾向があります。
他にもトーンホールの位置が現行とも違うなど機構にも大きな違いを感じます。
KING H.N. White Model は100年前の楽器とは思えないほど、当時の技術や工夫が詰め込まれた魅力的なサックスです。